「未経験歓迎!」の少年野球コーチング

野球経験のない(少ない)自分に何が教えられるのか・・・そんなお父さんコーチに!

春打つためには秋から②

前回の続き。秋から春にかけての、おすすめのバッティング練習です。

 

子ども達に「うちはバッティングのチーム」と意識づけるためには、当然、練習による裏付けが必要です。私のチームの場合は「バッティング4割、走塁3割、守備3割」が基本でした。年内と1月まではロングティーがメイン。強く振って、遠くに飛ばすことを意識させました。ポイントはセンター方向のホームランと同じ距離の場所に目印を置くこと。カゴでもコーンでもなんでもOKです。そこを目指してかっ飛ばせと発破をかけます。目印があるのとないとでは振りの強さが全然変わってくるのと、難しいことを言わなくてもカラダの開きを抑制できるメリットがあります。ホームランの距離は難しい子もいるので、手前にあと二か所目印を設けて、「ヒット」「長打」「ホームラン」と3つの目標を設けてもいいでしょう。

 

ある程度振りがしっかりしてきたら、2月くらいから「ハーフバッティング」メインに切り替えます。10メートル程度の距離からコーチが緩い球を投げて、それをセンター方向に打ち返す、という練習です。しっかりボールを待って、強くスイングする。これを繰り返します。目印を設置するのはロングティーと同じです。

 

ロングティーとハーフバッティングで強く振れるようになったら、コーチがマウンドから投げてのフリーバッティングを混ぜていきます。ここでは目印は設置せず、自由に打たせます。ただ、「甘い球を見逃したとき」と「弱いスイングをしたとき」は注意します。「甘い球を、強く打つ」意識を徹底させてください。

 

ロングティー⇒ハーフバッティング⇒フリーバッティングの段階を踏み、練習試合での実戦を経たら、いよいよ春の大会です。秋から準備してきたチームと、年明けからのチームとでは如実に差がでるはずです。しかもその差は夏、そして秋まで続きます。「春から打って勝つ」という果実を手に入れるために、ぜひ今から始めてみてはいかがでしょうか。

 

最後に、すべての練習に共通する注意点も挙げておくので参考にしてください。

■1人5球にする

⇒10球でやるチームも多いですが、5球のほうが集中力が続いて強く振れます。また、待ち時間が少なくなるメリットもあります。

■ボールは正面から投げる

⇒正面からくるボールを打ち返すのが野球なので、ロングティーもできれば防球ネットを使って、正面からトスことをおすすめします。防球ネットがない場合は、少し離れて正面に近い斜めからトスしていました。

■打席はできるだけ多く

⇒待ち時間を少なくするために、ロングティーもハーフバッティングも1打席5人以内にしたいです。(15人なら3打席以上)

■フォーム指導は信頼できるコーチに一任する

⇒一番よくないのは、1人の子にいろんなコーチが別々の指導することです。子どもは混乱して迷走してしまいます。教えたがりのコーチもいるので、やんわりと釘を刺しておくことを忘れないでください。

■安全面に十分な配慮を

⇒子どもの打球はどこに飛ぶかわからないので、待っている子どもはもちろん、トスやピッチャー役のコーチも十分気を付けてください。

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました!

春打つためには秋から①

すっかり涼しくなり秋めいてきました。6年生の大会が終わり、新チームが動き出している時期ではないでしょうか。

 

どんなチームにしようか、想像が膨らむ楽しい時期ですが、まずは守りから固めようと守備練習に力を入れるチームも多いと思います。

 

私も監督1年目はそうでした。年内と1月いっぱいまでは守備優先で、バッティングは2月くらいから始めればいいかなと。しかし結果からいうとそれは失敗で、守りはまずまず整ったものの、春は得点できずに負けるパターンを繰り返しました。そこから慌ててバッティングに注力するも、その成果が出はじめたのは夏以降で、しかも周りのチームも打撃が伸びているので相対的にバッティングの弱いチームで終わってしまいました。

 

2年目はその反省を生かし、打撃と走塁に秀でた市内の強豪チームの監督さんに教えを仰ぎました。言われたのは「春打ちたいなら秋から始めないとだめですよ」とのこと。少年野球の練習は週末が中心です。中学高校とは練習にかけられる時間の量が圧倒的に異なります。しかも1月2月はインフルエンザの流行や雪が降ることもあって、2~3週間ろくに練習ができない事態も想定されます。のんびり2月からなんて構えていると、計画していたことが半分もできないまま春を迎える可能性も十分にありえます。

 

なので2年目は新チーム始動とともに「打ち勝つ野球」をチームカラーに掲げ、バッティングを中心とした練習内容に切り替えました。もちろん、守備練習をしないわけではありません。守備はあえて目標に入れる必要はない、といった感じです。「うちは守備のチームだ」というより「うちはバッティングのチームだ」といったほうが子どもたちのモチベーションも意識も変わります。じつはこの「意識」の部分が大事で、指導者がこのように宣言し、その意識を徹底すれば、それだけでもチームのバッティング力は確実に増します。初球の甘い球を見逃していたのが、意識が変わると積極的に打ちにいけるようになる、というのが理由のひとつです。(追い込まれるほど打率が低くなるのはデータ上明らかになっています)

 

また、単純な話、子ども達は守備よりバッティングが好きです。冬練というと地道なトレーニングを行う(行わなければいけない?)イメージがありますが、バッティングを中心にして楽しく、でも真剣に、チームを鍛えていく方向性もありだと思います。

 

次回は、具体的なバッティングの練習方法についてお話します。

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

練習は効率が命


2人のコーチ(ノッカーとボール出し)が10人近くを相手にノックをしている。そんな練習風景をたまに見かけます。

 

なかなか順番が来ないので、待っている子はおしゃべりしたり砂いじりをしたり。自分の番がきたときだけノックを受けて、また列の後ろに並んでおしゃべりの続き、、

ここまでひどくないにしても、少年野球の現場では非効率な練習がよく行われています。「練習量には自信があるのに上達しない。頑張っているのに試合に勝てない」そんなチームは、練習の効率化について一度考えた方が良いかもしれません。コーチが少なくて効率化なんて無理、、というチームにこそ効率化は必須です。

たとえば冒頭のように、コーチ2人で10人以上を相手にする場合。ノック組とティーバッティング組のように2つに分けます。ノックはボール出し無しで、カゴからボールをとって打ちます。捕るほうは返球無しで、捕ったら近くに置いた空のカゴにボールを入れます。人数が半分になるのでそれだけで受ける数は二倍に。そして返球なしにすることで暴投による中断がなくなるため、実際には二倍以上効率が上がります。

この方法は、外野ノックならより効果的です。距離が伸びるので、返球ありだとどうしてもテンポが悪くなり数をこなせません。返球なしにすれば回転数は飛躍的に向上します。送球の練習はキャッチボールでも出来るので、コーチの数が少ない場合は、捕ることに特化するのがノックの効率化のポイントです。

一方、ティーバッティング組も工夫次第でコーチ1人でも効率化できます。スタンドティーがあればトス役は不要ですし、防護ネットを使って子ども同士でやらせてもいいでしょう。コーチは全体を見てアドバイス役に徹することができます。

盗塁の練習で長い列を作っているのもよくある風景です。二盗の練習であれば、一塁ベースの後ろにもう2〜3個ベースを置いて3〜4人同時にリードとスタートの練習ができます。ベースが無ければカラーコーンでもOKです

それでも完全に待ち時間をゼロにすることはできません。その待ち時間さえ上達する時間にするために、子どもたちによくこんな話をしてました。「待っているときにも頭でイメージしてみる。その場で動いてみる。そうすれば人の2倍も3倍もやったことになるよ。うまい人はみんな待ち時間の使い方が上手なんだよ」

グラウンドを見渡して観察すれば、もっと効率化できることが見つかるはずです。野球経験が少ないコーチのほうが、先入観がない分その“無駄”に気づきやすいのではないでしょうか。子どもの集中力は長く続きません。1つの練習は長くても30分以内におさめるといいでしょう。短い時間の中でいかに中味を濃くするか。効率化をキーワードに練習内容を一度見直してみませんか?

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

低学年のフライ練習②

 

カラーボールを使って、ある程度フライを捕る感覚をつかんだあとにおすすめしたい練習法です。ボールは軟球を使いますが、いきなりノックだと打球がランダムで難しいので、ワンクッション挟みます。みなさんのチームに手動式のバッティングマシンはあるでしょうか?それをフライ練習に活用します。

やり方は以下の通り。
※マシンが無ければ手投げでもOKです。ただし、狙ったところにフライを落とせるコーチが投げてください。ノックでそれができれば理想ですが難易度高いです。

①フライになるようにマシンの角度を調整し、落下地点が40メートル前後になるよう設定する
②落下地点を中心に4箇所に印をつける(印をつなげると一辺10メートル程度の正方形になるように)
③マシン側から見て左上の印に子どもたちを並ばせる
④練習スタート。マシンを操作するコーチは「いくぞー」と合図してからボールを放つ

⑤先頭の子はボールが放たれてから落下地点に向かって走り、フライを捕る(子どもから見ると、左斜め前に走ってフライを捕ることになる)
⑥捕球したら近くに置いたカゴにボールを入れ、時計回りでマシン側から見て右上の印に移動する
⑦左上に並んだ子が全員終わったら、次は右上の位置からフライを捕らせる
⑧これを4箇所ぐるぐる回って繰り返す

この練習のいいところは、ボールの落下地点が決まっていること。捕球の難易度がぐっと下がります。それじゃ意味ないよ、と思われるかもしれませんが、カラーボールとはちがう軟球のフライの感覚を養うには非常に効果的ですし、「落下地点に向かって走る→止まる→構える→捕る」という一連の動作を反復練習できます。

これだけではありません。マシンから見て右下と左下の印からは後ろ斜めに走る形になり、背走の練習もできます。さらに、正方形の感覚を広げて落下地点までの距離を調節すれば、ランニングキャッチという難易度の高いプレーの練習も可能と、一粒で2つも3つもおいしい練習メニューになっています。

この練習でフライが捕れるようになったからといって、ノックのランダムなフライがすぐとれるようになるわけではありません。ですが、ボールが落ちてくる軌道や、走りながらキャッチする感覚を身につけることで、いきなりノックから始めるよりも上達のスピードが格段に上がります。

もちろん、このマシンのメニューでもうまくできない子はいます。カラーボールはおでこでヘディングできても、軟球はまだ怖いという子ですね。その場合はワンバウンドしてからキャッチでも良しとします。ワンバウンドキャッチができたら次はグラブに当てればOK、といった感じでステップアップしていけば、いつのまにか捕れるようになるはずです。

野球経験のない方ならわかると思いますが、フライを捕るのは大人でも簡単ではありません。子どもならなおさらです。恐怖心をもたないようにカラーボールから始めて、細かく段階を踏んで進めていくことを強くおすすめします。

 

ちょっと長くなってしまいましたが、今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

低学年のフライ練習法①

 

ゴロが捕れるようになったら次はフライ。といきたいところですが、低学年にとってフライは難敵です。落下地点の予測にはある程度の経験が必要なのと、上から落ちてくるボールにはどうしても恐怖心がでてしまいます。

 

逆にいえば、「落下地点に入る経験値」と「恐怖心の払拭」ができればフライを捕れることになります。そこでおすすめなのが、カラーボールを使った練習です。手順は簡単。コーチがカラーボールでフライを投げてそれをキャッチ、するのではなく、おでこでヘディングする。ただそれだけです。

 

手で捕ろうとすると、手を伸ばして体から離れた位置で捕ろうとしてしまい、よくない癖がついてしまいます。だから、おでこでヘディング。グローブでフライを捕るときもおでこの上辺りで捕ることになるので、落下地点への入り方や正しい位置でキャッチする感覚が自然と身につきます。ヘディングするのが怖いという子は、おでこの上にグローブを持つほうの手を置いてもオッケーです。

 

ヘディングに慣れてきた子には、前後にふってみたり、両手キャッチさせるなど、飽きないようにレベルを上げていってください。前回のエントリーで紹介した得点制を取り入れてもいいでしょう。「オッケーの声を出す」「落下地点に入る」「おでこの真ん中でヘディングする」あたりが加点ポイント。さらに「おでこでバウンドさせたあとに両手キャッチ」までできたら100点満点!としたら大盛り上がり間違いなしです。

やってみるとわかりますが、子どもたちは練習というより遊び感覚でキャーキャー言いながらフライを追いかけます。楽しみながら夢中になって、知らず知らずのうちに上達している。低学年には理想的な練習メニューだと思います。ぜひお試しください。

次回は、そこからさらに発展させたフライの練習方法をご紹介します。

では、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

低学年にはゲーム性を取り入れよう

 

少年野球のコーチの第一歩は、自分の子どもがいる低学年チームから始めるケースが多いと思います。

 

私も3年ほど低学年チームを教えたことがありますが、捕る投げるもままならず、野球のルールもろくに知らない低学年を教えるのはほんとに大変ですよね。話は聞かないわ、集中力は5分も続かないわ、すぐケンカするわ、、、忍耐力がずいぶん鍛えられました(笑)。

 

そんな低学年チームの指導には、高学年を教えるのとは違う工夫が必要です。私が特に意識していたのは「ゲーム性」を取り入れること。たとえばノックなら“得点制”にしていました。「両足を広げる」「腰を低くする」「右手をそえる」など気を付けるポイントを3つほど伝え、手でボールを転がし、3つのポイントができたかどうか100点満点でジャッジします。

 

最初は低い点数からスタートして、「はい60点。腰をもっと低くするといいぞ」「おしい!95点。右手がもう少しグローブに近ければ100点だぞ」みたいに徐々に上げていきます。得点の付け方なんてこちらのさじ加減ひとつですが、子どもはかわいいもので100点目指して必死にやります。誰か1人がすぐ終わらないよう、接戦になるように得点をつけていくのがミソで、100点が近づくと誰が一番乗りするかとても白熱します。

 

また、盗塁の練習をするときにはただ走らせるだけでなく、タイムを計測していました。そのうえで、スタートやスライディングのポイントを伝えると、少しでもタイムを縮めるために集中して話を聞こうとします。足の速さは個人差があるので、誰かと競うのではなく自己ベストを出すことに注力させると足の遅い子でもがんばって走ります。

 

低学年の子たちは「野球がうまくなりたい」という意識はまだまだ希薄です。なので、まともに野球を教えようとしても集中してできません。「楽しみながら、いつのまにか野球が上達する」練習メニューの開発がコーチの腕の見せ所です。今回ご紹介したように、点数やタイムなど具体的な数字にすると子どもたちはがぜんやる気になります。他の練習でも応用可能なので、ぜひいろいろ試してみてください。

 

では、今日はこれくらいで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

グラウンドで一番大切なこと

 

前回のエントリーでは指導者の大事な心構えとして「学ぶ姿勢」についてお話をしました。では、グラウンドで実際に教えるときに大切なものは何でしょうか。

 

子どものことが好き。

教え方がうまい。

褒めて伸ばす。

etc.

 

どれも大事な要素ですが、私は「公平性」こそが最も重要だと考えています。

 

なぜなら、子どもから最も嫌われるのが「依怙贔屓」するコーチだから、です。恐いコーチでも依怙贔屓なしで誰にでも怒れるコーチは意外と嫌われません。自分が子どものころを思い出してみても、怒られたときよりも依怙贔屓されたときのほうが、指導者への反発は大きかった記憶があります。

 

上手い子には甘くて、そうでない子には厳しい。そんなコーチは間違いなく子どもたちから信頼を得ることはできません。信頼がないと、自分の伝えたいことの半分も子供たちはきいてくれません。これはなにも子どもだけでなく、私たち大人も同じではないでしょうか。依怙贔屓する上司は、軽蔑はしても尊敬することはできません。

 

少年野球でよくあるのが、主力の子とふだん控えの子が同じミスをしたときの対応の違いです。主力の子はドンマイで済まされるのに、控えの子は一発交代(懲罰交代)。このような指導をしていたのでは、主力の子は慢心し、控えの子はモチベーションを奪われるだけで、チーム全体の力は決して伸びるとは思えません。その悔しさをバネに、、という言葉は、機会を公平に与えられて初めて意味をなします。練習や練習試合では分け隔てなくチャンスは公平に与えてこそ、お互いが切磋琢磨し、公式戦でスタメンとベンチに分かれたときでも納得して全員野球で試合に臨めるのではないかと思います。

 

また、お父さんコーチの中には、自分の子どもにはやたらと厳しい方がいますが、それも公平さに欠けています。コーチとしてグラウンドに立っている以上は、子ども達全員のコーチです。同じように教え、同じように叱る。自分の子と変わらぬ熱量で接してみてください。野球経験の少ないコーチでも、公平に接することのできるコーチを子どもたちは慕ってくれます。そこが指導のスタート地点だと私は考えています。

 

それでは今日はこれくらいで。

最後までお読みいただきありがとうございました。